丹下幸平@窃盗犯108号
 
みなーみBlog
 



2005年4月30日を表示

百万円のツボ 其の9

坪内の爺さまが、豪邸でワクワクしている頃
丹下と九十九里は倒産した場末のパチンコ屋の中で
今夜の準備をしていた

丹下は、いつもの全身タイツに今回は不思議な装備を着けている
左腕には小形のキーボード
右目には液晶のディスプレイを内臓したゴーグル

「しっかし、九十九里よぅ、こんなモンよく見つけたなぁ」

「ネットオークションでも手に入らないと思うっすよ、米軍の最新装備ですからね、いやぁ
横浜のドブ板通りでコイツが転がってるのを見た時、感動しちまいましたよ
っていってもあったのはその右目のヘッドアップディスプレイだけだったんですけどね」

丹下の右目のゴーグルの中には、GUI画面が投影されていた
右胸に装着したトラックボールを操作してアイコンをクリックすると
ピンボールゲームがスタートした

「丸っきりソフトはウィンドウズだな、余計なモン入れとくなよ・・・今夜は爺、抱えて走り廻って大騒ぎ
ってな予定な訳だが途中でフリーズなんてこたねぇだろうな」

「さぁねぇどうっすかねぇ、正直、丹下さんのの運次第っすね時間無さすぎでしたから」


丹下が今回装備しているのは、米軍が開発中のランドウォリアーシステムを模倣した
九十九里自家製の『着れるパソコン』だった

「丹下さん今更だけど、その装備10キロ近くあるけど動けます?」

「今それ言ったってしょうがねーよ、携帯電話じゃやりにくいのは、間違いないからな」


とりあえず丹下達の考えはこうだ
今回の敵である忍者丸は、記番号の公表以降はネット上に姿を現していなかった
これでは、せっかく九十九里が人妻から手に入れたIPを手に入れる方法も役に立たない

忍者丸をとにかく、ネット上に引きずり出す必要があった

その公表された記番号だが、公表されたうち、三分の一ぐらいは実はあてずっぽうの
物だった、それもそのはず忍者丸は、丹下が盗みに入った犯行時刻に一番近くに入金しにきた
「ガンジガラメ」の店長が、坪内老人の百万円を入金する事を知っていたのだ

その百万円を続き番号で全て公表したのでは、ネタモトが簡単に割れてしまう
それでブラフと混合して公表したのである

忍者丸は坪内老人を良く知る何者かだ

警察もその観点で老人に事情聴取しているのだが、明確に忍者丸につながる線はまだ出ていない



丹下は覚悟した、ドロボー稼業抜きでは、やっていけない情けない自分を

それをスッキリ続ける為には、このネットストーカーをギャフンと言わせる必用が丹下の中にあった



だから、あえて大騒ぎをする方を選んだ



少なくとも、今回の報道で忍者丸は、少しはあせったはずだ

これで、リアルタイムで大騒ぎの中心人物しか解らないであろう事をネットで実況すればどうなる
間違いなく108号である人物がネット上に現れたとしたら

必ず忍者丸も現れる

当初からネタモトを公表していれば、もっと早く自分が注目されたはずだ
それをしなかったのは、丹下しか知らない筈の情報を知らせる事で接触を望んでいたからに違いない

それも自分の正体は知らせずに

そうは、問屋が卸さない、こちらは、忍者丸の正体を知っているであろう人物を
掴んでいるのである、間違いなく奴は焦る、その点で追い詰めていけば、そこには必ず油断が発生するはずだ


「相手が人間ならっすけどね、でもちょっとカケの要素が多い仕事だなぁ・・・」

「まぁな」

「まず、そのランドウォリアモドキがマトモにフル稼働する時間が長く見て二時間、
それに例のIPぶっこぬきを出来るのが・・・・そうっすねぇ10回アクセスしたらバレルだろうなぁ・・・」

「まぁあの会社も、さすがに俺が誘拐の実況するとは考えてねーだろ臨戦態勢ってわけじゃないだろうさ
思ってるよりゃアクセスできるんじゃねーか」

「そこんところが肝っすね、確かに、こりゃ気が狂ってるっすよ」

「そういう事だ、狂ってるってのが俺たちの武器ってわけさ」

「やな武器っすねぇ嫌いじゃねーけど」






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4月30日(土)01:32 | トラックバック(0) | コメント(0) | 丹下幸平 百万円のツボ | 管理


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