丹下幸平@窃盗犯108号
 
みなーみBlog
 



2005年6月11日を表示

暑い Ⅰ

いらっしゃいませ~いらっしゃいませ~本日もパーラーフリッツへの、多数さま、大勢さまのご来店
誠に、あぁまぁことに、ありがとぉぅございます

さぁ本日もトップ№1番台を筆頭に2番台、3番台、5番台、6番台!
ラッキーセブンを真ん中にー!ラスト№367番台にいたりますまで
さぁ全機全台、あぁ全機全台、釘を甘く、広く、大きく広げましての大解放!
全てが優秀機、優秀台となっておりますれば、

さぁどうぞ奥へ中へ、奥へ中へとお入りいただきまして
本日のお客様の優秀機、優秀台を、お決めいただきまして、どうぞ本日も、ごゆるりと、お楽しみ下さい!

さぁお客様、パチンコの必勝法、なんと、なんと申しましても粘りと頑張り、粘りと頑張りで御座います
さぁ本日も、日ごろ鍛えられたその指先その黄金の腕前をフルに発揮いただきまして

さぁ本日もぉご遠慮なくさぁジャンジャンバリバリ!
あぁジャンジャンバリバリと、お出し下さいませ、おとりくださいませぇ~。



今日も、オッパジメの開店マイクが終わり、いつものとうりの単調な、ユーロビートの繰り返しが始まった。
昨日、新装開店が終了して今日から平常営業10時開店。

少々昨日は出すぎた、赤字になりすぎちゃぁいけないんだよ、パチンコ屋ってのはね。

そもそも、当たり前だが、パチンコってのはセコイギャンブルだ、みんなが持ち寄った金を
偶然が偏らせて嬉しい奴と寂しい奴に分ける・・・で実際の総和はマイナスでもプラスでもない。
店の大盤振る舞いってそんなもんだ。

だから店に利益が残らないぐらいで新装開店はちょうどいい、出ない開店なんてみられたモンじゃないけれど
赤字になりすぎるのは、それはそれで不味い、だから「大きく甘く」なんて今日は大嘘

それでも客はやって来る、朝からガキ連れてくるどっかの主婦、なんの仕事をしてるか解らないオッサン
気のいいヤクザ、モンスターハウスの168番台にしか座らない親父、土地成金の百姓。
しかし今日は朝からまた、特に濃い連中が集まりやがった、嫌だなぁ・・・・

パーラーフリッツは、結構古いと言うか場末な匂いのプンとするパチンコ屋だ
建物なんて安普請で、本当そのまま「ハコ」。壁なんて薄くて、この前、ぶちぎれた「気のいいヤクザ」
が、どついたらエライ大きな穴が開いた。

そんな、いい加減な建物だから空調の風の流れなんて何にも考えて無い

「ちょっと、寒すぎるんだけど」

「ハイハイ、待っててくださいね」

あわてて、空調の一部を切る、そうすると今度はその反対側から「暑いぞバカ」ってな具合だ。
そんな具合で、今日もいつものように無駄な努力を重ねていたら、昼飯を喰った後あたりからおかしくなった。

空調が。

早番の責任者は俺だ、どうしよう。ショウガナイからドアを全部開けてみたけど何の効果も無い
前から何とかしてくれって言ってたのによう・・・シブチン店長め

お客も最初はブーブー言ってたが、諦めの放送を入れたら黙りやがった。
マトモな奴らは一部、帰ったが前述の連中は帰る気配も示さない、店長に電話をかけてみる。

「このままじゃ、お客さん全部、帰っちまいますよ」

「いや、お客ってのわなぁ、寒いより暑い方が帰らねぇもんだ」

よく解らねぇけど、まぁ仕方ねぇ、だから場末なんだよ、まぁとにかく業者に電話をかけた直後
バイトの宇宙人みたいな19の女の子が、事務所に駆け込んで来た。

「Mさん!はッハッハッハチ蜂!」

慌てて、店の中に戻ったら、ミニ戦闘機みたいな凶悪な奴が3匹、飛んでいた、忘れてた
この前から駐車場の近辺でチョクチョク見たんだ、こりゃぁいけねぇ!
あわててスズメバチ三機をそーーーっと外に追い出しドアを全部、閉めた。

タバコの煙がドンドン溜まってきやがる、どうしようも無い、酸素が少ねぇ・・・
バイトの女の子の制服が汗で、チョット透けるのは、おつなもんだが、業者はまだか!

客まで含んでヤケッパチの状態になってきた、南のガラス窓を覗いてみたらオテントウさんは
一番高いところに座っておられた。もうやけくそだ。マイクするぞこの野朗!

「235番台の、お客様!取りましたお見事、777、無制限ラッキースタート!」

なんでこんな状態でも、こいつら、帰らねぇんだちきしょー。
権利物コーナーの島から赤ランプ、行ってみたらウィッグの隙間から汗をしたたらせた、いつものオバハン。

「ねぇ、当たってんでしょう、何とかしてよ」

権利物ってのは、今は無い種類の台だが、要は一回、当たると後二回、高確率で当たる台である
しかし、一回、当たってドル箱一杯出て、例え16分の一の確率でも当たらない時はドル箱が
空になっても当たらないなんて事もある、しかも今日の釘はギチギチだ、回らない回らない
オバハンの箱はすっかり空になっていた、こういう時、うちの場合は店員が当たるまで回してやる。

不服そうに汗を拭くオバハンの前の台のガラスを空け、玉の付いたゲージ棒を、役物に突っ込んで
センサーに当ててやって回す、オバハンの安香水の匂い毒ガスのごとく・・・うーたまらん。

ちきしょう!あたらネェ!業者は、まだか!泣くぞしまいにゃぁ!
20分ぐらいが経った、オバハンは暑さに喘ぎながら、扇子をパタパタやっている。

あんたそんなにパチンコが好きなら、旦那と別れて、この台と結婚しろっつーんだ。
しかも、汗が出すぎたせいか、オバハンの匂いが安香水から体臭に変わっていた・・・泣けるぜ・・・
ようやく、高確率のリーチが来た時、業者がやって来た。
何とか二回目が当たって、ほっとした俺は、思わずマイクで言った。


「おめでとうございます、258番台の、お客様ぁ、ワッキースタートー」

お後がよろしいようで・・・・次も「暑い」で行きます。

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6月11日(土)00:26 | トラックバック(0) | コメント(0) | お題でワンシーン | 管理


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