丹下幸平@窃盗犯108号
 
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百万円のツボ 其の19

六本木Wills33階、丹下は「忍者丸こと坪内忍」のだだっ広い部屋の中にいた

「おれぁ悪いがそういう、なんつーのかなぁ哲学みたいな事は良く解らん
でもまぁお前はどうやら死んじゃいねぇと思うぞ」

ベッドの上の忍はそう言われて、動かない表情筋を動かして必死に笑顔を作った

「ありがとう、しかし実質は、オヌシの言ったとうりでござる、拙者は生きた死人
それを謙虚に認めないとある意味、拙者のような人間は始まらないのでござるよ・・・」

丹下は何を言っていいか解らず、頭をボリボリかいてしばらく考えたが疲労でいきなり
何かがプチンと切れた

「アホクサ」

「へっ?」

「知るかそんな話、どーでもいいよ!俺の知ったこっちゃねぇ、いいか?お前はIT企業の
元取締役そいでもって極めて解りやすい『勝ち組』で俺はお前とカワンネェ年だが盗人
の落ちコボレ、わっかりやすーーい『負け組』なんだよ!」

「いや、しかし人生に勝ち負けなんぞ存在せんでござる拙者のこの状況と代わりたいと思うで
ござるか?オヌシ??あぁ!

「何、言ってやがる!代われるモンなら代わりテーよ!お前なんだかんだ
いっちゃあぁいるが何にも困っちゃいねぇじゃねーか!そんなモン贅沢だよ贅沢!」

「ムキーーひどいでござる!拙者は拙者なりに!苦労して!
ここまで来たのでござるよ!それに関してオヌシにどうこう言われる筋合いは無いでござる!」

丹下は、忍を睨みつける、忍も負けていない目を合わせて続けた

「ガッカリでござる!拙者オヌシのファンだったでござるよ!盗みは働くけど人は誰も傷つけない!
今回のクレーンの仕掛けもアッパレでござった!こいつぁいい奴だ人間を大切にする
正にアッパレなる快盗と思っていたでござるのにーーーー!」

「買いかぶりだそんなモン偶然だ偶然、いいかバカ野朗、てめぇの病気はてめぇだけのもんじゃねぇ!
お前と同じ境遇の人間は、山ほど・・・・山じゃぁねぇかもしれねぇがいるこたいるんだよ!
その中じゃぁどう考えたってお前は一番いい状況じゃねーか!それをなんだぁ?
魂のデジタル化?死んでる事を認識できネェだと?甘えた事イッテンじゃネェ!」

「おーおーおー説教でござるか?あぁ?説教?」

「おうとも説教よ!こちとら疲れてんだ、チンタラ金持ちの泣き言聞いてる余裕はネェ!
と言うわけでだな、おれぁとっとと帰ってビール飲んで寝たいんだよ!だから肝心の商売の話を
させてもらおう、てめぇにコレを買わせる、迷惑料含めて1000万!払えこの野朗!」

そう言うと丹下は懐から巻紙を取り出し、忍の目の前のディスプレイに叩き付けた

『108号、見参』

そう、日付といっしょに、その紙には書いてあった

「はぁぁぁぁあぁ?こんなミミズがノタクッタ字を突きつけられて1000万だぁ!納得出来ないでござる!」

「うるせい!てめえのせいで裏の稼業ストップしてたせいでサラ金のローンの支払いが

今 ! 現 在 ! も う 尻 に 火 が つ い て る 状 態 な ん だ よ !

おとなしく払いやがれ!」

「500万」

「いーや負けて、900万」

「・・・・700万」

「うーーーーーくそ!この野朗、800万」

「・・・・それで手を打つでござる」

「よし!明日振り込めるか?」

「口座が解れば今、手続きするでござる」

「よし、そうしてくれ!振込み口座はジャパンウェブ銀行本店、普通口座で番号は8818810タンゲコウヘイだ!」

「ヤバイヤバイマルでござるね・・・大変でござるなぁ手数料は引かせてもらうでござるよ・・・
コラ!暗証番号を覗こうとするんじゃない!クソ盗人!」

明らかに呆れた眼をして忍は手続きを終えたホッとする丹下

「庶民なんて大なり小なりこんなもんだ、ほいじゃぁな縁があったらまた会おう」

「まったく・・・・呆れた『快盗』でござる、早くかえってくれでござる」

「イメージ壊して悪かったな、まいどありぃ」

そういうと、また音も無く現れた葉山に案内されて丹下は忍に手を振りながら去って行った

忍のディスプレイのコメント欄に文字が並んでいた

「(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑」



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5月18日(水)17:25 | トラックバック(0) | コメント(0) | 丹下幸平 百万円のツボ | 管理

百万円のツボ 其の18

丹下は「忍者丸」こと坪内忍の予想どうりダストシュートを登っていた
とりあえず、例によって全身タイツランドウォリアの格好に着替えての登頂である
ゴミが二回ほど捨てられたがナントかカントカ登って行った
途中、ヒョコヒョコ、フロアに出ながら登っていく、垣間見る日本勝ち組トップの城は
チンケな犯罪人の知っている世界とは全く異なる世界だった、天井が高い。

日本の勝ち組トップの出すゴミに紛れて、最底辺の盗人がその城に蝿みたいに、よじ登ってるってのは
何とも皮肉なもんだ・・・

そんな事を考えながら、九十九里のナビで、32階までたどり着いた
33階はワンフロア丸ごと忍者丸の物のようで探してみたがダストシュートが一旦途切れている
見つけた入り口を登ってみても34階に出てしまった、さてどうしたものか・・・



島木と由香の前で、忍者丸の正体を明かした老人は熱くなった目頭を
抑えると、気を取り直し話を続けた

「脊髄性筋萎縮症と言う難病を知っておるかね」

「あぁ不治の病と言われるあれですな、少しずつ体が動かなくなっていくと言う」

「そうそして、最後は呼吸すら機械に頼ることになるあれじゃ
・・・・ワシの末の孫は、その病にかかってしまった二年前のことじゃ」

「・・・・・なんと言ってよいか・・・」

「いや、気にする必用は無い、とにかく聞いて欲しい、あんたらのような人に・・・
あれはな、ワシの自慢の孫じゃった。ワシは妾、それから世話した孤児まで血縁と考えるなら
50人近い孫、曾孫まで合わせれば100人以上の子孫がおる
その中には優秀な奴も沢山おるが、あの子は特別じゃった」

「カストリの味が解ったお孫さんですからな」

「それもそうじゃ、ただわしが言いたいのは、元から金持ちの家と言うのはな、
一概には言えんじゃろうが、それを当たり前と思う傾向があるのかもしれん・・・
いや頭では、さっき言った『人の頭を踏む』話だって理解できる
ただそれを本当の意味で『感じる』事が出来るという事は全く別な事なのじゃよ
ある意味そんな感覚は商売人には不要な物よ・・・だからワシの血縁で優秀なのは『とても優秀』じゃ

だがあの子には何故かわしと同じそれがあった

この年になって、自分を囲む血縁が自分の持っておるそんな甘さを
ほとんど共有出来ないと言う事実は、とても寂しい事なんじゃ・・・・

それも、あの子の病が露見した時・・・80になって初めて知った感覚じゃった・・・」

抑えられなくなった涙をこぼしながら老人は、話続けた



5月17日(火)15:07 | トラックバック(0) | コメント(0) | 丹下幸平 百万円のツボ | 管理

百万円のツボ 其の17

丹下と九十九里のコンビは限られた勝ち組しか住めない
『六本木Wills』の前にいた、アホみたいな顔でその威容を見上げている二人

「ねぇ丹下さん」

「なんだよ?」

「こう言うマンションでも、自治会とかあるんですかねぇ」

「あるらしいぜ、ビックリだけどなぁ」

「えっマジ?やっぱ、あれっすかねぇゴミ捨て場の掃除とか回り持ちでしたりするんすかねぇ」

「いやマジマジ、でもそりゃぁねぇだろ、こいつらの事だから業者買収したりすんじゃねーかヤッパ」

「やな自治会議だなぁそれ」

「いやぁでも節分の豆まき会とかはするらしいぞ」

「うっそマジっすか?」

「いやマジマジ」

「やっぱ鬼役のタレントプロダクションとか買収するんすかねぇ」

「うーんするんじゃねぇかヤッパ」

「って事は婦人会がその鬼の株主だったりするわけっすか」

「うーーんそうじゃねぇかヤッパ」

Willsの住民用の入り口付近をとうり二人は様子をうかがった
警備が当然ついており中に入ろうとする人間をチェックしている
ジロジロみている警備員を横目で見ながら九十九里が小声で言った

「どうします丹下さん、こんばんわーってわけには行かないっすよ、日改めますか?」

「支払い期日が待ってくんねーんだよ今夜で勝負つける」


二人が多分この時間帯で日本でもっともアホな会話をしている頃
屋形船では、老人が『忍者丸』の正体を語り始めた

「坪内忍、これがあのネットストーカーの名じゃよ」

「坪内?」

「そうワシの孫じゃよ」

老人は焼酎のお湯割りをぐいっと一口あおった
島木と由香は思わず顔を見合わせた


Willsの33階、異様に広い暗い間接照明された部屋の中にベッドに生命維持装置と
丹下のランドウォリアのヘッドアップディスプレイに似た装置をつけた男が横たわっていた
ランドウォリアと違うのは、この装置がこの男の眼球の動きを追うシステムを搭載している事だった
様々な情報が我々の使うグラフィックユーザーインターフェイス画面と似て非なる
表示方法でこの男の眼球の操作により処理されていた

違いは、一見して解らないがちょっとした動作がワンアクション少ないのである
介護用に特化した特殊なOSを使用しているようだ
しばらくそのリズム感がワンテンポずれた操作が繰り返され動画が再生された
Willsに設置された監視カメラが捕らえた丹下と九十九里だ
その画像を見たあと、男の顔が、わずかだが微笑んだ

眼球に操作されたカーソルが背広の形をしたアイコンの上に行くと待つ間も無く
暗い部屋のドアが音も無く開き光が差し込んだ、そこにはガッシリとした執事らしき男が立っている

「御用ですか、忍さま」

その声に反応して、ディスプレイの中に幾つかのコメントが現れた
その一つを選択すると、合成だが、よく出来た男の音声をスピーカーが発した

「108号殿がいよいよ来たようででござるよ」

「どういたしますか」

即座にベッドの男の前にあるディスプレイが反応し幾つかの長いコメントが表示される
その一つを選択すると今度は詳細に関するバリエーションが表示される
そんな操作が2度繰り返され再びスピーカーが音声を発した

「おそらく、ダストシュートあたりから侵入してくると思われるでござる・・・まったく世話がやけるで
ござる、警備装置を切っておくでござるが・・・・まぁ恐らく30分後ぐらいにはこの部屋にたどり着くで
ござろう、丁重にお迎えするでござるよ。ところで葉山?明日のゴミ集積場の掃除はどうなっているでござるか?」





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5月16日(月)01:06 | トラックバック(0) | コメント(0) | 丹下幸平 百万円のツボ | 管理

百万円のツボ 其の16

クレーンが倒れて、瓦礫が地上に落ちたが
幸い損壊した部分の直下の
違法駐車されたベンツが廃車になっただけで済んだ
このベンツが盗難車で、丹下達が用意した物であったのは言うまでも無い
クレーンが崩落しなかったのは、九十九里の計算が以外な程、正確だった証明となった、柄に似合わず建築を学んでいたらしい

人は見かけによらないわけだ

丹下は計算どうり倒れたクレーンから飛び降りて屋上を駆け抜け
ビルメンテナンスの作業台に仕込んだロープで一気に降下

マンホールの蓋を器用に開けると、スルリと飛び込み予定されたルートを駆け抜け
九十九里の待機場所に向かってひた走った



その頃、島木と坪内老人は、湯のみを挟んでお互いの顔色を伺っていた

「島さん、なんでオヌシあの盗人にそんなに肩入れする?」

老人はニヤニヤしながら聞いた

「さぁねぇなんででしょうねぇ・・・」

「小指かける程の価値があるのかね?」

「多分無いでしょうなぁ・・・・」

苦笑いしながら、島木は答えた


「・・・ありゃね、どうしようも無いアマちゃんですよ・・・


いやでもね、別に、本当の馬鹿って訳でも無いんだなコレが・・・・だから逆に始末が悪い
若いときの俺に似てるとかじゃ有りません、むしろ正反対だ
でも嫌いになれないんですよ、俺に焼きが廻ってんのかもしれねぇが・・・何とも言えません」


そう言うと島木は笑った

「そう言う奴の頭を、わしゃあ何度も踏んできたから、おぬしの言いたい事は、なんとなく解るよ」

「いけねぇいけねぇ、ヤクザが感傷的になっちゃ、お終いです、やりますか」

「そうじゃな、勝負は勝負、所で島さんサイコロはコッチを使わしてもらう、いいかね」

そう言って老人は懐から自前のサイを取り出した
想定外の老人の行動に島木は思わず少し動揺した

「いいかね、あんたの思いは良く解る、でもなぁ勝負は別じゃよ解るなぁ?」

好々爺だった老人の顔が、一瞬まったく別の鬼になった



丹下は、何とか一キロ程先のドブ川に飛び出す事が出来た

「丹下さーん!コッチコッチ!」

九十九里だ、その声を聞いて緊張の糸がきれたのかランドウォリアの重さが圧し掛かる
何とかタンデムシートにつかまると情け容赦なく九十九里は、ぶっ飛ばした

「たんげさーーーーーん!」

「なんだぁ・・・・」

「どぶ臭いっす!」

「うるせぇ・・・死ね」

九十九里は港区方面に向かって走りだした、表の祭りは終了した



湯のみは伏せられていた

「丁」

老人が、凄みの聞いた声で言った
この爺は冗談なんかで済ませる気は無いようだ
そんな事は解っていたつもりだったが、さすがは『重鎮』と呼ばれる人間だった
この勝負は島木に圧倒的に不利だ、呑気にホノボノ拉致の状態でお互い解りあった雰囲気が
あった所にイキナリ鬼の顔である、気おされ老人のサイを拒否する事が出来なかった
この老人、まさか全て計算ずくか???正直、島木のサイコロはイカサマ用だった
拒否しても良かったがこんな事態は想定外・・・・
自分の甘さに後悔の念は無い、ただ島木は上には上がいる事を知って嬉しかった

くだらねぇ、こんなくだらねぇ事でビリビリしてる

やっぱり俺はヤクザだな、気が狂ってる 経済ヤクザにゃなりきれねぇようだ

「半」

そう言って湯のみを開けようとした時、老人が止めた

「待った確認したい事がある」

「なんです?」

「わしが、負けてその忍者何とかを思い出したとしよう」

「えぇ」

「どうするつもりかね?」

「まぁとりあえず、黙らせるでしょうなぁ」

「手荒な事をする気かね?」

「アイツは、救いようの無いアマちゃんです」

おかしな老人の質問に、島木は笑顔で答えた

「・・・・なるほどな、了解した、御開帳と行こう」



ガード下の小さな公園の公衆トイレで丹下は着替えると
くわえタバコでノートパソコンの画面を見つめている九十九里に話しかけた

「何か解ったか?」

「今、例の野次馬のIP洗ってるんっすけどね、ビンゴかもしんないっすね個人が運営してる
サーバーからのアクセスだ」

「おいっ所でそれは、また人妻ハッキングか?」

「いやっこれは、このドメイン管理会社の部長が博打好きでデカイ借金してるんす
これは島木さんに言ってもいいっす」

「アナログだねぇ・・・」

「アナログハッキングに勝る物無しってね・・・以外と近くっすよ」



「シロクの丁」

老人の勝ちだ、島木は清々しい顔で言った

「・・・・・由香、包丁持って来い」

「待ちなさい、この勝負あんたの勝ちじゃ、カッカッカッ!」

あっけにとられる島木をよそに、老人はサイコロを齧った

鉛入りだ

「イカサマじゃよ」

老人の顔が再び好々爺に戻った




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5月14日(土)02:00 | トラックバック(0) | コメント(0) | 丹下幸平 百万円のツボ | 管理

百万円のツボ 其の15

丹下は大勢の警官を引き連れて、とあるビル工事現場まで
やって来た、忍者丸の監視はその後も続き、とことん追い詰められていたように見えていたが
ここまでは一応予定どうりだ、とにかく奴を引っ張り出した



素早くビル内の死角に入り込むと九十九里と荒い息で連絡をとった

「どうだ?臭いIPアドレスあったか?」

「ここまでで、8回ブッコ抜きましたけど無いっす、スイマセン」

「まぁしょうがねぇな、ラストチャンスはこれからだ切るぞ」

「あっ待って下さい、島木さんから連絡があったす」

「なんだよ」

「よくわかんねぇんですがカストリって知ってますか?」

「あぁ昔の不味い安酒の事だろそれがどうした?」

「とにかくそれでカマかけろって言ってました!」

「なんだよそれ?」



聞く暇も無く警官の迫る声が聞えて来た
仕込んでおいたウィンチのワイヤーに捕まるとスイッチを入れ一気に工事現場の最上階へ
もの凄い勢いで引っ張り上げられていった



その頃、屋形船の中

「ご老人、本当の事をご存知なんですね」

「さぁねどうかな、この年になると『記憶にございません』って言い訳が嘘に聞えなくなるじゃろう
それに自分でもそこの所の境目が良く解らん事がある」

「なるほど、良く解りました・・・結構です、ではこういうのはどうです」


島木は懐から小さいサイコロを二つ取り出した


「丁半一発勝負です、お好きでしょうこういうの?」

「なるほどのぉ、そう来たか、であんたは何を賭ける?」

「小指一本と、あんたの自由、つまらんもんでしょうが」


島木は真顔で言った
老人は黙って少し驚いた後、ニタリと笑った


「1千万とか言うなら、断わったがね、そりゃぁ面白い乗ろうじゃ無いか」

「ありがてぇ、由香、湯のみ持ってこい」

「そんな、止めときなよ島木さんの柄じゃ無いよ・・・正気じゃ無いって、本当
『基本的に俺は経済ヤクザだ』っていつも言ってるくせにもぉーー・・・」

島木は、当惑する由香を睨むと

「ヤクザの武器って何か知ってるか由香?」

「何言ってんのよ?」

「気が狂ってることさ、トニカク湯のみ持ってきな」



先の工事現場の最上階、仕込んで置いたウィンチのお陰で追手とのアドバンテージが
少しとれた、丹下は何とかネットにコメントを送信しながらクレーンに登り始めた

「自分から袋小路に入ってどうするつもりでござる?」

「泥棒と煙は高いところに昇るって世間じゃ決まってるのさ」

「まさか自殺する気じゃないでござろうなぁ、そりゃツマランでござるよ」

「お前みたいに、生きながら死んでる野朗に言われたか無いね」

「何を言ってるでござる、拙者ちゃんと生きているし、第一オヌシをここまで
追い詰めたでござる(笑」

「うるせぇなぁ、予定の行動だよ、このカストリ野朗、俺が好きにやってる事さ」

丹下は、苦し紛れにそう言ってみたら野次馬が反応した

「かsトリは関係ないdsろibakaじゃねーの」

「その人のいうとうりでござる(笑」

どうも気になる、クレーンの頂上に登り切った丹下は
ヘリコプターのサーチライトを浴びながら続けた、そろそろ足元の現場も騒がしくなってきた
この際できるだけ引き付ける方がこの後、効果的だ焦る必用は無い

「お前みたいな、世間から逃避してる団子虫野朗はな、カストリみてぇな野朗だって言いたいんだよ」

「意味が解らんでござるよ」

「わかんねぇだろうなぁ・・・カストリ、ゴミになる酒かすで造った焼酎
昔懐かしい時代にはイッパイあったそれも忘れられて今じゃ世間に相手にされず珍品扱い

お前みたいなもんだ」

「かsdとりは環b家0内!」

「拙者はそんな物では無いでござるよ、今でもオヌシと同じく人気者でござる(笑」

「人気者ってのは止めときな、ネットストーカーの分際でおこがましいんだよ」

「(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑」

「どうやら、お前は俺とは違う種類の人間らしいな・・・・

でも解ったぞ、お前の正体は、世間から逃げ出して忘れられたカストリ野朗だ
『忍者丸』なんてオカシなラベルを貼り付けて珍品扱いされる、忘れられた人間なんだよ!

し か も 昔 懐 か し い お 前 の 味 は 不 味 い と 来 て る 

お前の正体は、そんな野朗だ!、俺って言う悪党に乗っかって自分の存在を主張したいだけの死人だよ」

「だkk。だsfはkankeinaidarou!!!」

「速いスレッドでござるが、野次馬殿も焦ってはいけないでござるよ(笑」



クレーンの下には警官が山ほど集まってきたそろそろ潮時だ

「九十九里!今のアクセスブッコ抜いとけ!」

携帯電話にそう叫ぶと丹下はリモコンのスイッチを押した

クレーンの油圧シリンダーに仕込まれた爆薬が小爆発をおこしそれで開いた小さな穴からオイルが噴出

大音響と共に隣のビルにゆっくりとクレーンが倒れ込んだ










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5月12日(木)13:42 | トラックバック(0) | コメント(0) | 丹下幸平 百万円のツボ | 管理


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