丹下幸平@窃盗犯108号
 
みなーみBlog
 



坪内昭三1947 其の15

ジープのエンジン形式はSV(サイドバルブ)である

フォーサイクルガソリンエンジンの形式としては
最も初期の形である、燃焼室に並列してバルブのスペースが必要な為、圧縮率を効率よく
決定的に上げる事が出来ない構造なのが弱点で、我々の今の生活では、せいぜい古い発電機
や水汲みポンプにその形が残っているぐらいの古い形式である。
エンジンの分解写真等を見ると「バルブは燃焼室の上にある物」と思っている
我々には、非常に不思議な構造として眼に写る。

またまた、比較対象としてドイツのキューベルワーゲンを上げると
ワーゲンはOHV、手元の資料を軽く流して見て見たが、アメリカの後方支援車輌
には圧倒的にサイドバルブのエンジンが多く、対照的にドイツはOHVが比較的多い

つまらないウンチクを並べて申し訳ないが、もう少し続けると
OHV形式は、ドイツ生まれの物で、サイドバルブはアメリカが熟成させた物だ

ハーレイダビッドソンがOHV(ナックルヘッド)を採用したのが1936年
けして、アメリカに技術が無かった訳ではない。
そこには、間違いなくアメリカの思想が存在するはずである。

「ドイツのエンジンは始動に時間が掛かるが、瞬発力があるのが強みだった」

ドイツ戦車エース、オットーカリウスのコメントである。
この瞬発力と言うのは、結局OHVによる圧縮効率に関する優位性に他ならない
おそらく、彼もアメリカの鹵獲車輌のジープ等に乗った経験があるはずだ
恐らく比較されたのはそう言った後方支援車輌が多いだろう、よってこれは言い換えれば
「OHVはSVに比べ瞬発力がある」とも言える。

確かにアメリカが、マシントラブルを物量でカバーした側面は、大きいと思うが
カムシャフトに連結したバルブリフターでバルブを直接押し上げるSV(サイドバルブ)に
比べるとOHVは、DOHC等に比べればまだまだ単純とは言え、燃焼室のてっぺんに
バルブの開閉機構を持っていくための、ロッドなどの中間に入る部品が多数あり
決定的に部品点数が多い、オイル系統が複雑になり暖気に時間がかかる。
また中間に、こういった部品が一点でも入ると言う事は
それだけ調整等に手間がかかると言う事でもある。信頼性が高くなるのはモチロン
部品点数の少ない方だ、戦場でのメンテナンスも、サイドバルブの方が断然やり易いだろう。
OHV(オーバーヘッドバルブ)はピストンの頭を見るだけでも気を使う事になるが
それに対してSVは、蓋自体にはプラグ以外何も無いのだからその作業効率の良さは歴然だ。
第一、壊れない、壊れる原因が少ないのだから当然である。
へたる部品と言って思い浮かぶのはバルブスプリングくらいなものだろう
その上ジープは水冷機構を備えており、砂漠等でもタフな走破性を保ったのも想像に難くない。

キューベルワーゲンも、信頼性は、けして低くは無い
(クロガネ4起は低かったようである、ちなみに形式はOHV)またこう言う種類の車輌にあえて
OHVを採用するあたりに日本人としては、共感する物があることも事実ではある。

だが、しかし。

「どっちに乗る?」

と戦場で問われれば、迷わず筆者はジープを選択する。
フロントラインの兵器なら、迷う物が敗戦国側にも多数あるが、これに関しては
迷いようが無いのである。



6月16日(木)01:54 | トラックバック(0) | コメント(0) | 坪内昭三1947 | 管理

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