丹下幸平@窃盗犯108号
 
みなーみBlog
 



坪内昭三1947 其の4

二人は12時ちょっと過ぎに現場に着いた
腹を減らした男三人が、お櫃に入った銀シャリを具の少ない味噌汁
とタクアンでバリバリ喰う、橋本が一杯食う間に眞田を除く全員が三杯目を平らげ
あっというまにお櫃は空っぽになった

タバコを一服して、また作業が始まる橋本は体格の一番大きい佐門と倒れた電線を
カッパライに行かされた、大八車に5杯程作業小屋に運ぶと三時
三時の休憩で一服すると直ぐに今度は電線を包む被覆を削る作業になる
その頃には坪内も戻っており作業に参加していた

電線は銅で出来ているが被覆は樹脂で出来ているこれをそのまま持って行っても
買ってはくれるが、剥くのと剥かないのでは値段が段違いなのだ

5時になって、業者のトラックがやって来た、眼一杯色々な金属を放り込むと
現金を坪内は受け取り、本人はジープに乗ってどこかに行ってしまった

残った5人は作業小屋で皮むきを続ける
6時前に眞田は子供に飯を食わせる為に家に帰った、男達はその後と言う段取りらしい

暗くなって、ランタンに火を入れる頃になって眞田が呼びに来た

夜の7時、今日の作業は終わった

それまで、人懐っこい眞田が抜けてしまい喋るに喋れなかった橋本だったが
眞田が色々聞くので適当にしゃべっていた
話が昼前に会ったウェイン少佐の話になった時、年長の平田が反応した

「あぁ、あのイケスカネェアメ公にあったのか・・・ありゃぁ相当な悪だぜ」

「世話になってるんです、あんまりそういう事言うのは、良くないと思います」

眞田が嗜めたが皮肉屋のこの男は、舌を出すだけだ、橋本が続けた

「イケスカネェのは、俺も同意するが、それより気になったのはあのジープだ、
低速だったが微妙にレスポンスが良いエンジン音だった」

「気づいたのか?あんた?あれに?」

「ルソン島で、俺達も鹵獲したジープの世話になってたからな、ありゃ改造してるだろう」

「やっと!話の解る奴が来た!そのとうりだよ若いの!ありゃボアアップしてるんだ!」

「なんでそんな事するんだ?」

話を聞いていた佐門が後ろからにゅっと顔を出すと笑顔でその質問に答えた

「そいつは、今夜、入間の基地に行けば解りもす」

「そうやなぁそういや今日は火曜日やな行ってみるか」

「よし!歓迎会も兼ねて行こうぜ、山崎ケチクサイ事、言うなよ!」

「まぁえぇけど」

「決まりだ!橋本さん、面白いモン見に行こう!」


男達が妙にワクワクしている



5月23日(月)23:21 | トラックバック(0) | コメント(0) | 坪内昭三1947 | 管理

コメントを書く
題 名
内 容
投稿者
URL
メール
オプション
スマイル文字の自動変換
プレビュー

確認コード    
画像と同じ内容を半角英数字で入力してください。
読みにくい場合はページをリロードしてください。
         
コメントはありません。


(1/1ページ)