丹下幸平@窃盗犯108号
 
みなーみBlog
 



百万円のツボ 其の3

その夜、二階の自室に戻った丹下は例の「忍者丸」を探す事にした

臼井の事件以降ネット上では噂が噂を呼び大騒ぎになっているらしい事は
由香にも聞いて知っていたが気にも留めなかったってのが本音だった

噂ってのは、勝手なもんで思いっきり独り歩きしていた
テロリスト説、お決まりの北朝鮮スパイ説、政界陰謀絡み説と言った所だ革命家説なんて無責任な物もあった

こいつら、108号の正体が赤字経営の街金なんて知ったらどう思うんだろう?

そんな事を考えながら、ほくそえんでいると
島木の言っていた「忍者丸」らしき人間は意外にアッサリ見つかった



問題だった
真実に近い所を知っている臭い



黄桜銀行の件で報道より丹下が手に入れた金額が少ない事はヘタをすれば警察だって
知らない事だが事実に近かった

ネタモトを明かさないのでネットの野次馬達には信用されていないが
もっと問題だったのは丹下の警察を撒いてからの逃走ルートの推理が変に適切なのである

例の隅田川の遠泳に関しても推理があたっている・・・いやこれは推理じゃないのか??ならもっと問題だ

「108号が、風邪を、ひかないか心配でござる」

なんて書き込みまであった
こいつは、意図的だ、ネタモトを暴せば信用もされるだろう、だがしない
案外、語尾に「ござる」をつけるのもカモフラージュかも


丹下が接触しようとするのを待っているのは状況的に明白だった


警察の罠かも知れない、しかし、あいつらこんな回り道するか?


遅くまで考えていたが結論が出ないうちに夜が明けてしまった






次の日の、お昼ごろ頭の悪そうなスカジャンのチンピラが島木の使いでやって来た

「おっご苦労さん、いやぁあんたの兄貴は金払いは、いいんで助かるようん」

「それがぁ、まだ渡せないってっつーことなんすっよ」

「はぁ?」

「よく解んないけどそーらしいっす、で連れて来いって事になってましてハイ」

「はぁ?」

「スグ来てくださいっツー事です」

「はぁぁぁ?あれで?」

アパートの前には、ボロバイクが止まっていた
渋々タンデムシートに座るとイカレタ運転ですっ飛ばすスカジャン

「おおおぉい」

「なんすかぁぁぁっぁぁどけっオバハン死ね!」

「アブねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

「俺の運転うまいっしょーーーーーーーー!死ねババア!」

「ひいいいいいいいいぃぃぃぃ!」







命からがら一時間かかって着いたのは歌舞伎町の雑居ビルの3階にあるネット喫茶だった

「おう、なかなかそいつの運転面白かったろう、えーーーっと名前はなんつうだった?」

「九十九里っす」

「あぁそうそう九十九里、元気のいい奴でな、これからコイツお前につけるからよろしくな」

「冗談言わないで下さいよ、それより何スカ?」

「お前、新聞読んでないの?」

「読む前にジェットコースターに乗せられたもんでね」

新聞にはデカデカと一面に、こう書いてあった

「黄桜銀行、被害届けの虚偽報告発覚、警視庁、支店長を事情聴取」







続く→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc020J454668A4/1/



4月24日(日)01:26 | トラックバック(0) | コメント(0) | 丹下幸平 百万円のツボ | 管理

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