丹下幸平@窃盗犯108号
 
みなーみBlog
 



丹下幸平 百万円のツボ
~説明~
丹下幸平

32歳 高利貸しを表の稼業にしているが

正体はマヌケでケチな大泥棒

の日常


百万円のツボ 目次

其の1→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc02et4546685E/1/
其の2→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc02on45466880/1/
其の3→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc02xw4546689C/1/
其の4→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc020J454668A4/1/
其の5→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc029E454668BE/1/
其の6→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc02JG454668DD/1/
其の7→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc02tv45466890/1/
其の8→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc02Th454668FF/1/
其の9→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc02XQ45466909/1/
其の10→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc02hQ4546692E/1/
其の11→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc02kb45466938/1/
其の12→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc02Uh454669CF/1/
其の13→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc02X6454669D9/1/
其の14→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc02ap454669E1/1/
其の15→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc02f0454669F3/1/
其の16→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc02qD45466A12/1/
其の17→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc024B45466A36/1/
其の18→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc02Bi45466A4D/1/
其の19→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc02II45466A61/1/
エピローグ→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc02R045466A80/1/



5月20日(金)08:47 | トラックバック(0) | コメント(0) | 丹下幸平 百万円のツボ | 管理

百万円のツボエピローグ

丹下は、明け方、九十九里に連れられて帰宅
派手な祭りを終えて興奮した九十九里が長居しようとしたが
追い出すと、背広を着たまま自称事務所で泥のように眠ってしまった

昼ごろ起きた丹下は慌ててサラ金三社に電話、
まぁ何とか頭を必死に下げて
汗臭い男の必死な顔を怪訝そうにどこの受付も見ていたが今回は勘弁してもらえた
そんなこんなで現金で支払を終え帰って来ると事務所に九十九里が待っていた

「丹下さん、ランドウォリア返して貰いにきたっす」

「おう、お疲れさん、今コーヒー入れる、ありゃ便利だったぜ、また頼む」

「今回は使用料20万で結構です」

「えっ?どういう意味かな・・・九十九里君?それ?」

眼が点になっている丹下に構わず九十九里の留めの一言

「しのごの言わずに20万、今日払って貰わないと
自動的に島木さんからの借金になるんでよろしくーー」

丹下は思わずインスタントコーヒーを流しにぶちまけてしまった


ワイドショウでは、昨日のスッタモンダを大騒ぎで報道していた
坪内老人は、翌朝8時頃、隅田川の川べりを歩いている所を警官に保護されたのだが
ワイドショーのインタビューに例によって上機嫌で答えていた
ちゃんとした、記者会見場での質疑応答だ、あの爺こんな事まで用意していたらしい
とんでもない食わせ物だ、苦虫を噛み潰したような顔をした角田警部の隣で
爺は、嘘八百を並べ立てた

「いやはや!奴らのアジトから脱出するのは本当に大変じゃった!
わしが、若かりし頃、鍛えた縄抜けの術で、奴らの隙を突き拘束を解いたまでは
良かったのじゃが20人以上は、おったろう、脱出しようと駆けるワシを
雲をつくような大男たちが立ちふさがったのじゃ、あれは日本人では無かった
のかもしれん、しかし所詮、毛唐のカタカナ体術では筋金入りのわしの合気道に
かなうものでは無い、立ち止まっては一人は隅田川へ、もう一人は路上へと
チギッテは投げツマンデは投げと繰り返し何とか逃げ延びたというわけじゃ

108号を捕縛出来んかったのは痛恨の極みじゃが、いやぁしかし暴れた暴れた、カッカッカ!」

「と言う事は、隅田川べりに108号のアジトがあったと言う事ですか?」

「うん?わしゃぁそんな事言ったかな?」

「えぇ確かに今『隅田川に投げた』と・・・?」

「さて、それがな・・・思いだせん」

いけしゃぁしゃぁと爺は、トボケテそう言った
その後、角田警部への質問となった

「・・・・今回の失態は私の責任であります・・・しかし今回から私は
『108号専任』となりました・・・・ちょっとよろしいですか?カメラさんこっちお願いします」

そう言うとマイクを握って立ち上がり画面に向かって青筋を立てながらこう言った

「108号!観ていたらよく覚えておけ!貴様には今回の一件で
『騒乱罪』!『器物破損』!『公務執行妨害』!『営利誘拐』!がこれまでの
『窃盗』の上に上乗せされた!必ず捕まえてやるからな覚悟しとけ!」



5月20日(金)08:23 | トラックバック(0) | コメント(0) | 丹下幸平 百万円のツボ | 管理

百万円のツボ 其の19

六本木Wills33階、丹下は「忍者丸こと坪内忍」のだだっ広い部屋の中にいた

「おれぁ悪いがそういう、なんつーのかなぁ哲学みたいな事は良く解らん
でもまぁお前はどうやら死んじゃいねぇと思うぞ」

ベッドの上の忍はそう言われて、動かない表情筋を動かして必死に笑顔を作った

「ありがとう、しかし実質は、オヌシの言ったとうりでござる、拙者は生きた死人
それを謙虚に認めないとある意味、拙者のような人間は始まらないのでござるよ・・・」

丹下は何を言っていいか解らず、頭をボリボリかいてしばらく考えたが疲労でいきなり
何かがプチンと切れた

「アホクサ」

「へっ?」

「知るかそんな話、どーでもいいよ!俺の知ったこっちゃねぇ、いいか?お前はIT企業の
元取締役そいでもって極めて解りやすい『勝ち組』で俺はお前とカワンネェ年だが盗人
の落ちコボレ、わっかりやすーーい『負け組』なんだよ!」

「いや、しかし人生に勝ち負けなんぞ存在せんでござる拙者のこの状況と代わりたいと思うで
ござるか?オヌシ??あぁ!

「何、言ってやがる!代われるモンなら代わりテーよ!お前なんだかんだ
いっちゃあぁいるが何にも困っちゃいねぇじゃねーか!そんなモン贅沢だよ贅沢!」

「ムキーーひどいでござる!拙者は拙者なりに!苦労して!
ここまで来たのでござるよ!それに関してオヌシにどうこう言われる筋合いは無いでござる!」

丹下は、忍を睨みつける、忍も負けていない目を合わせて続けた

「ガッカリでござる!拙者オヌシのファンだったでござるよ!盗みは働くけど人は誰も傷つけない!
今回のクレーンの仕掛けもアッパレでござった!こいつぁいい奴だ人間を大切にする
正にアッパレなる快盗と思っていたでござるのにーーーー!」

「買いかぶりだそんなモン偶然だ偶然、いいかバカ野朗、てめぇの病気はてめぇだけのもんじゃねぇ!
お前と同じ境遇の人間は、山ほど・・・・山じゃぁねぇかもしれねぇがいるこたいるんだよ!
その中じゃぁどう考えたってお前は一番いい状況じゃねーか!それをなんだぁ?
魂のデジタル化?死んでる事を認識できネェだと?甘えた事イッテンじゃネェ!」

「おーおーおー説教でござるか?あぁ?説教?」

「おうとも説教よ!こちとら疲れてんだ、チンタラ金持ちの泣き言聞いてる余裕はネェ!
と言うわけでだな、おれぁとっとと帰ってビール飲んで寝たいんだよ!だから肝心の商売の話を
させてもらおう、てめぇにコレを買わせる、迷惑料含めて1000万!払えこの野朗!」

そう言うと丹下は懐から巻紙を取り出し、忍の目の前のディスプレイに叩き付けた

『108号、見参』

そう、日付といっしょに、その紙には書いてあった

「はぁぁぁぁあぁ?こんなミミズがノタクッタ字を突きつけられて1000万だぁ!納得出来ないでござる!」

「うるせい!てめえのせいで裏の稼業ストップしてたせいでサラ金のローンの支払いが

今 ! 現 在 ! も う 尻 に 火 が つ い て る 状 態 な ん だ よ !

おとなしく払いやがれ!」

「500万」

「いーや負けて、900万」

「・・・・700万」

「うーーーーーくそ!この野朗、800万」

「・・・・それで手を打つでござる」

「よし!明日振り込めるか?」

「口座が解れば今、手続きするでござる」

「よし、そうしてくれ!振込み口座はジャパンウェブ銀行本店、普通口座で番号は8818810タンゲコウヘイだ!」

「ヤバイヤバイマルでござるね・・・大変でござるなぁ手数料は引かせてもらうでござるよ・・・
コラ!暗証番号を覗こうとするんじゃない!クソ盗人!」

明らかに呆れた眼をして忍は手続きを終えたホッとする丹下

「庶民なんて大なり小なりこんなもんだ、ほいじゃぁな縁があったらまた会おう」

「まったく・・・・呆れた『快盗』でござる、早くかえってくれでござる」

「イメージ壊して悪かったな、まいどありぃ」

そういうと、また音も無く現れた葉山に案内されて丹下は忍に手を振りながら去って行った

忍のディスプレイのコメント欄に文字が並んでいた

「(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑(笑」



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5月18日(水)17:25 | トラックバック(0) | コメント(0) | 丹下幸平 百万円のツボ | 管理

百万円のツボ 其の18

丹下は「忍者丸」こと坪内忍の予想どうりダストシュートを登っていた
とりあえず、例によって全身タイツランドウォリアの格好に着替えての登頂である
ゴミが二回ほど捨てられたがナントかカントカ登って行った
途中、ヒョコヒョコ、フロアに出ながら登っていく、垣間見る日本勝ち組トップの城は
チンケな犯罪人の知っている世界とは全く異なる世界だった、天井が高い。

日本の勝ち組トップの出すゴミに紛れて、最底辺の盗人がその城に蝿みたいに、よじ登ってるってのは
何とも皮肉なもんだ・・・

そんな事を考えながら、九十九里のナビで、32階までたどり着いた
33階はワンフロア丸ごと忍者丸の物のようで探してみたがダストシュートが一旦途切れている
見つけた入り口を登ってみても34階に出てしまった、さてどうしたものか・・・



島木と由香の前で、忍者丸の正体を明かした老人は熱くなった目頭を
抑えると、気を取り直し話を続けた

「脊髄性筋萎縮症と言う難病を知っておるかね」

「あぁ不治の病と言われるあれですな、少しずつ体が動かなくなっていくと言う」

「そうそして、最後は呼吸すら機械に頼ることになるあれじゃ
・・・・ワシの末の孫は、その病にかかってしまった二年前のことじゃ」

「・・・・・なんと言ってよいか・・・」

「いや、気にする必用は無い、とにかく聞いて欲しい、あんたらのような人に・・・
あれはな、ワシの自慢の孫じゃった。ワシは妾、それから世話した孤児まで血縁と考えるなら
50人近い孫、曾孫まで合わせれば100人以上の子孫がおる
その中には優秀な奴も沢山おるが、あの子は特別じゃった」

「カストリの味が解ったお孫さんですからな」

「それもそうじゃ、ただわしが言いたいのは、元から金持ちの家と言うのはな、
一概には言えんじゃろうが、それを当たり前と思う傾向があるのかもしれん・・・
いや頭では、さっき言った『人の頭を踏む』話だって理解できる
ただそれを本当の意味で『感じる』事が出来るという事は全く別な事なのじゃよ
ある意味そんな感覚は商売人には不要な物よ・・・だからワシの血縁で優秀なのは『とても優秀』じゃ

だがあの子には何故かわしと同じそれがあった

この年になって、自分を囲む血縁が自分の持っておるそんな甘さを
ほとんど共有出来ないと言う事実は、とても寂しい事なんじゃ・・・・

それも、あの子の病が露見した時・・・80になって初めて知った感覚じゃった・・・」

抑えられなくなった涙をこぼしながら老人は、話続けた



5月17日(火)15:07 | トラックバック(0) | コメント(0) | 丹下幸平 百万円のツボ | 管理

百万円のツボ 其の17

丹下と九十九里のコンビは限られた勝ち組しか住めない
『六本木Wills』の前にいた、アホみたいな顔でその威容を見上げている二人

「ねぇ丹下さん」

「なんだよ?」

「こう言うマンションでも、自治会とかあるんですかねぇ」

「あるらしいぜ、ビックリだけどなぁ」

「えっマジ?やっぱ、あれっすかねぇゴミ捨て場の掃除とか回り持ちでしたりするんすかねぇ」

「いやマジマジ、でもそりゃぁねぇだろ、こいつらの事だから業者買収したりすんじゃねーかヤッパ」

「やな自治会議だなぁそれ」

「いやぁでも節分の豆まき会とかはするらしいぞ」

「うっそマジっすか?」

「いやマジマジ」

「やっぱ鬼役のタレントプロダクションとか買収するんすかねぇ」

「うーんするんじゃねぇかヤッパ」

「って事は婦人会がその鬼の株主だったりするわけっすか」

「うーーんそうじゃねぇかヤッパ」

Willsの住民用の入り口付近をとうり二人は様子をうかがった
警備が当然ついており中に入ろうとする人間をチェックしている
ジロジロみている警備員を横目で見ながら九十九里が小声で言った

「どうします丹下さん、こんばんわーってわけには行かないっすよ、日改めますか?」

「支払い期日が待ってくんねーんだよ今夜で勝負つける」


二人が多分この時間帯で日本でもっともアホな会話をしている頃
屋形船では、老人が『忍者丸』の正体を語り始めた

「坪内忍、これがあのネットストーカーの名じゃよ」

「坪内?」

「そうワシの孫じゃよ」

老人は焼酎のお湯割りをぐいっと一口あおった
島木と由香は思わず顔を見合わせた


Willsの33階、異様に広い暗い間接照明された部屋の中にベッドに生命維持装置と
丹下のランドウォリアのヘッドアップディスプレイに似た装置をつけた男が横たわっていた
ランドウォリアと違うのは、この装置がこの男の眼球の動きを追うシステムを搭載している事だった
様々な情報が我々の使うグラフィックユーザーインターフェイス画面と似て非なる
表示方法でこの男の眼球の操作により処理されていた

違いは、一見して解らないがちょっとした動作がワンアクション少ないのである
介護用に特化した特殊なOSを使用しているようだ
しばらくそのリズム感がワンテンポずれた操作が繰り返され動画が再生された
Willsに設置された監視カメラが捕らえた丹下と九十九里だ
その画像を見たあと、男の顔が、わずかだが微笑んだ

眼球に操作されたカーソルが背広の形をしたアイコンの上に行くと待つ間も無く
暗い部屋のドアが音も無く開き光が差し込んだ、そこにはガッシリとした執事らしき男が立っている

「御用ですか、忍さま」

その声に反応して、ディスプレイの中に幾つかのコメントが現れた
その一つを選択すると、合成だが、よく出来た男の音声をスピーカーが発した

「108号殿がいよいよ来たようででござるよ」

「どういたしますか」

即座にベッドの男の前にあるディスプレイが反応し幾つかの長いコメントが表示される
その一つを選択すると今度は詳細に関するバリエーションが表示される
そんな操作が2度繰り返され再びスピーカーが音声を発した

「おそらく、ダストシュートあたりから侵入してくると思われるでござる・・・まったく世話がやけるで
ござる、警備装置を切っておくでござるが・・・・まぁ恐らく30分後ぐらいにはこの部屋にたどり着くで
ござろう、丁重にお迎えするでござるよ。ところで葉山?明日のゴミ集積場の掃除はどうなっているでござるか?」





続く→http://mkbag.btblog.jp/cm/kulSc02Bi45466A4D/1/



5月16日(月)01:06 | トラックバック(0) | コメント(0) | 丹下幸平 百万円のツボ | 管理


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